古坂大魔王 × 神保京子(東京都庭園美術館学芸員)
 

アール・デコの館に刻まれた80年の歴史をたどる、年に一度の「建物公開展」

  • 神保  本日、東京都庭園美術館をご案内いたします学芸員の神保です。まず当館は1933年に完成したアール・デコ建築の名作で、元々は朝香宮鳩彦(やすひこ)王の邸宅でした。朝香宮ご夫妻が、1925年にパリでアール・デコ博覧会をご覧になられ、フランスと日本の英知を結集して作られた、世界的にも貴重な建物なんです。
  • 古坂  へぇー! そもそもアール・デコって何ですか? 美術の様式でしたっけ。
  • 神保 はい。アール・ヌーヴォーの時代に続いて、1910年代から30年代にかけて流行した様式で、機械化が進む中、合理性のある機能的なデザインに特徴がみられるんです。建物の随所にも幾何学的なモチーフが繰り返し用いられているのが分かると思います。
  • 古坂 80年以上前の建物なのに、今見てもいいですねぇ! 僕の大好きなウルトラマンにも通じる近未来感があるというか。
  • 神保 そうかもしれないです! 私も今はじめて「ウルトラマンってデコだったんだ」と気が付きました(笑)。装飾性を廃したといわれるアール・デコですが、実は装飾的な美を求め、慈しむ感覚があったんです。こちらの《香水塔》 は当館のハイライトの一つ。上部の照明部分に香水を施して香りを漂わせた、といわれてきたのが呼称の由来です。
  • 古坂 大きなアロマポットだ!
  • 神保 まさにそうですね。この《香水塔》を含めて、各部屋には水や植物等のモチーフが度々出てきますし、大食堂の天井に吊るされた照明を見ても面白いですよ。
  • 古坂 あー、パイナポーのモチーフがありますね! アポーも探せば見つかるかな?(笑)。いやしかし、建物自体が美術ですねぇ。
  • 神保 そうなんです。今回の展覧会『建物公開 旧朝香宮邸物語』では、この建物の歴史をたどりながら、そこを往来した人々や出来事についてもご紹介したいと思っています。たとえば当館は、戦後、吉田茂元首相の外務大臣公邸としても使用されていて、2階の書斎で撮られた写真は有名なんですよ。
  • 古坂 その写真、見たことあります。うわー、今見ても超カッコいい書斎じゃないですか!
  • 神保 当館の中でも特にアール・デコの特徴が生かされた空間ですね。
  • 古坂  こうやって説明を伺いながら回るとすごく楽しいですねぇ。あと、こんなに広い土地がある場所なのに、ちょっと狭めな部屋があるのも「日本人だなぁ」と思いました。
  • 神保 サイズ感は確かにそうですね(笑)。日本的なものと西洋的なものが混在しているのも、当館の面白さです。また東京都庭園美術館は、数年かけて行ってきた全てのリニューアル工事が完了し、3月21日に総合開館したばかりです。整備された西洋庭園と改築 されたレストランも、建物公開展と併せて楽しんでいただければと思います。

建物公開 旧朝香宮邸物語

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